カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルから見る世界傾向Vol.2
2024.9.30 (最終更新:2024.9.30)
なぜ今「瞬間」?
考えられるのは「大きな物語」偏重に対する危機感。最近のパーパスブームや続出する社会課題によって、私たちは物事を大きな枠組みとして捉えることが当たり前になっている。パーパスや社会課題を考えることは重要なのですが、それだけだと賛成か反対の2択しかなくなって対立が生まれやすくなり、前に進めなくなることもあります。大切なのは大きな枠組みは大切にしながら、生活者の感情や行動の一つひとつを解像度高く見ていくことではないでしょうか。
消費者は「今=瞬間」を生きている
「瞬間」に着目すべき理由として、生活者側の変化もあると思います。
世界的ビールメーカー「AB InBev」のMarcel Marcondes氏は、ブランド構築のために重要な要素の一つとして「記憶に残る体験の提供」を挙げ、その理由を「私たちはまさに体験の時代に生きているから」とした。新世代がインフレや教育費の高騰など、多くのものが衰退する様子を見た結果、今この「瞬間」を生きることを大事にしているのだという。
また、玩具大手「MATTEL」のYnon Kreiz氏も「今の消費者は、65年間存在してきたブランドであっても、それが今の彼らにとって何らかの意味を持たない限り気にしない。だから、私たちが手掛けるすべてのものに今の要素をタイムリーに注入し、情緒的なレベルで魅力的なものにする。それが過去と現在、未来の間を横断し、ブランドを常に説得力のあるものにするのだ」と説明している。
これらのことから結局大事なのは「生活者一人ひとりと直接向き合い対峙すること」かなと思いました。これを実践することで何が「瞬間」で最高の「瞬間」とは何かを発見できるんじゃないでしょうか。