なぜ買ってしまう? 生活者が抱くロイヤリティー
2024.9.13 (最終更新:2024.9.13)
日用品や食品など私達が繰り返し購入する商品はどのようにして生活者ロイヤリティーを高めるのでしょうか。
商品は大きく3タイプに分かれる
生活者の購入決断の仕方によって、商品は3タイプに分かれるといわれています。
1. 「信用財」
本当にこれがよいか最後まで選ぶことに自信を持つのが難しいタイプ。保険商品やコンサルティングサービ
スなど。
2. 「経験財」
使って初めて、良いか悪いか気づくことができるタイプです。大半の商品がこれに該当し、効能がすぐ分か
る医薬品などの商品。
3. 「探索財」
商品を見たり調べたりしなくても、おおよその中身の想像がつき、不安なく購入できるタイプ。日用品や食
品はほとんどが、この探索財と言えます。リスクが少ない分、関与度も低くなります。
よくブランドへの愛(LOVE)やブランドへの確信(コミットメント)などが大切だと言いますが、これらに当てはまるのはファッションなどのハイブランドかなと思います。
自分は何を身につけたいか、身につけたくないか。自分をそのブランドに当てはめて、自分の延長線上にそのブランドが存在しているかどうかが、大きく購買に影響を与えます。
各ブランドも個性を売りにしており、誰が見ても明確な差があります。やはり“ラブ度”が関係してくるわけです。しかしLOVE度は日用品や食品の商品にはなじみにくいんじゃないかと思います。
例えば料理の際に使用する「ラップ」。大手メーカーが発売する「クレラップ」と「サランラップ」。 調査によると「クレラップ」を買っていると思っていたが、実は旭化成の「サランラップ」だったという方もいらっしゃいます。多くの人にとって大手メーカーの商品であれば、ラップの仕様や特徴はあまり差を感じられず、強いて言えばカットしやすくするための刃の構造に一工夫あるぐらいの違いで区別がつきにくいという声もあります。
日用品の習慣買いは「インタラクション」
コモディティーとされる日用品で、ブランドの違いに関心がない生活者も多い一方で、「ブランドLOVE」という強い感情ではないけれども、特定のブランドにロイヤルティーを感じ、行動ロイヤルティーが生まれる場合もあります。
例えば、自宅のキッチンの引き出しを開けたらストックがないことに気づいたなど、何かしらのインタラクションによって急に商品への関与が生まれるというものです。生活者と日用品との間には、「使う」「持つ」「保管する」「捨てる」など様々なインタラクションがあり、それぞれの瞬間に関与が生じることがあります。その際に強く印象に残り、次に買うときに「“あれ”を買わなければ」と思われるブランドが、強いブランドということになります。
「LOVE」ほどの強い思い入れはなくても、「おもしろかったから」「気持ちよかったから」「楽しいから」「楽だったから」といったふわっとした感情がなんらかの記憶に残すことが大切だと思います。
“LOVE”ではなく、“LIKE”が生活者心理に影響
メーカーは商品開発においての中身に意識を置くのはもちろんですが、「包装・パッケージ」にも意識をもっと向けてはどうだろうか。生活者の経験では、中身よりもパッケージがユニークな経験を作り出しているという場合もあります。
コモディティー化した日用品・食品の世界においては、せっかく商品開発したのに競合製品と明確な差を感じてもらえず、同質化しやすいということがあります。その中で、例えば「捨てる」あるいは「保管する」といった特定のブランド経験に注目し、パッケージデザインなどのブランド設計をすることが、行動ロイヤルティー向上につながり、結果として心理ロイヤルティーを形成する可能性があるんじゃないかと思います。
浮気されずに常に買われている商品は、必ず何かしらのブランド経験(家庭内のいつもの場所にフィットするデザインだと感じられている など)を提供しているから選ばれているのだと思います。
「市場シェアが低いブランドは、購買客数も少ない。購買客は行動ロイヤルティーも態度ロイヤルティーもやや低い」。“LIKE”の視点で生活者の心をつかめるなら、顧客の少ない段階でロイヤルティーを向上させる可能性があるんじゃないかと思います。
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